それでも生きていく。映画「夜空はいつでも最高密度の青色だ」を観て思ったこと。。
人はみんな何かを抱えて生きている
やたらタイトルが長い「夜空はいつでも最高密度の青色だ」という映画を観た。
ストーリーは、昼は看護師、夜はガールズバーで働く美香(石橋静河)と
工事現場で日雇いで働く慎二(池松壮亮)が、出会いお互いに惹かれていくと
いった現代の東京で暮らす若者の恋を描いたもの。
詩人・最果タヒの詩集「夜空はいつでも最高密度の青色だ」を元に石井監督が
脚本を書き、映像化しているので、劇中でも詩が引用されている。
美香がつぶやく詩が印象的だ。
「都会を好きになった瞬間、自殺したようなものだよ。塗った爪の色を、きみの体の内側に探したってみつかりやしない。夜空はいつでも最高密度の青色だ・・」(『青色の詩より抜粋』)
東京という都会で、息苦しさを感じながら、不安、怒り、孤独、喪失感、
欠乏感、あきらめなどを抱えながら、日常を生きている美香と慎二。
行き場のない思いを飲み込み、窒息しそうな日々をやり過ごして生きていく。
人はみんな何かを抱えて生きているのだと思う。
絶望の中に見える希望
美香が慎二に、「喋ってないと不安なんだ」と言うシーンがある。
そうだ、私も沈黙が怖くて、やたら喋りまくって、あとで後悔することがある。
自分の中にある不安を感じないように、喋ることでバランスをとっているの
かもしれない。
映画の中で、慎二の同僚の一人が言った言葉が印象的だった。
「死んでしまうことを不幸だと思うなら、生きていくこともできない」
当たり前のことだけど、自分もいつかは必ず死ぬ。
でも、死ぬまでは「自分だけは死なない」って思っている。
今日生きているけど、明日も生きているという保証はない。
だからこそ、今のこの瞬間を悔いなく生きること。
何となく先が見えない不安に押しつぶされそうになりながらも、それでも
前を向いて生きていくしかないと思う。
観ていて、やるせない気持ちと息苦しさを感じながらも、ラストのシーンに
ほんの少し希望の光を感じた。
希望を感じにくいこの時代だからこそ、明日も生きていこうと思える
希望の種のようなものがあれば、いいなと思った。