狂気じみた究極な愛を描いた、映画「君が君で君だ」
異常な男たちの10年間の愛の物語
(C)2018「君が君で君だ」製作委員会
何だかスゴイものを観てしまった・・・。
何が正しくて、何が正しくないのか・・。
何なんだ、この映画は・・。
それがこの映画を見た率直な感想だった。
映画は、思いを寄せる女性の「大好きな人」になりきり、10年間
その女性を見守った男たちの物語といった内容だが、一歩間違えれば
やばい人たちの物語になってしまうきわどいラインを描いている。
坂本龍馬になりきるというのも意味不明だが、好きな女性の行動を10年間
監視し続けている姿は、はっきり言って異常だ。
彼らがやっていることは、ストーカーと同じで、犯罪行為にもなりかねない。
冒頭から繰り広げられる彼らの行動に対して、恐怖感と嫌悪感を感じながらも
物語が進行していく中で、次第に感情が揺さぶられていった。
池松壮亮という役者の凄さ
(C)2018「君が君で君だ」製作委員会
映画の中で、池松壮亮は尾崎豊になりきる役だが、はっきり言って
彼以外にはこの役は演じられないと思った。
狂気すら感じる怪演ぶりで、もうすごいとしか言いようがない。
彼が演じることで、異常とも思える行動や愛情が、相手を純粋に思う
愛なんだ、と思えてくるから不思議だ。
池松壮亮は、若いのにどこか達観した雰囲気がある。
それが彼の独特な存在感と魅力につながっていると思う。
彼らのストーカー行為は気持ち悪いし理解できないが、彼らの
見返りを求めない愛のカタチは、何となくわかる気もする。
観る人を選ぶ作品だし、好き嫌いがはっきりわかれると思う。
しかし、画面からほとばしるエネルギーと疾走感を感じる不思議な
映画だ。